というわけで、BOOK☆WALKERに引き続き、電子書籍の最大市場と言っても過言ではないamazonのKindleストアに配本登録してみたいと思います。
もともとこのサイトを作成したときは、Kindleでの販売を前提にしていました。
紆余曲折しつつ、やっとKDP(Kindle Direct Publishing)に挑戦です!
ネットでは古い情報がいまだに1ページ目に出てくるKDP
当初、電子書籍の個人出版についてインターネットで調べたのですが、Kindleについてはとにかく情報が錯綜していて混乱しました。
特に、
- KindleはTINを取得しないと、アメリカに所得税を払わなくてはならない。
- 印税が銀行に振り込まれるときに「被仕向送金手数料」および「円為替取扱手数料」がかかる。
この2点は、いまだにGoogle検索で1ページ目に出てくるサイトで得られる情報です。(2017年1月現在)
ですが記事をよくよく見てみると、それらのほとんどは2013年から2014年に作成されたものでした。
日本でKDPが活発になり始めたときの情報で、現在には当てはまらない点も多くなっています。
現に上記の2点の問題も、今では解決していました。
- KindleはTINを取得しないと、アメリカに所得税を払わなくてはならない。
→KDPに登録する際に、米国政府に納税義務がないことを申請するフォームに必要情報を入力するだけでよい。 - 印税が銀行に振り込まれるときに「被仕向送金手数料」および「円為替取扱手数料」がかかる。
→電子書籍の販売設定で「Amazon.co.jp」だけで売るように設定すれば、日本国内の銀行から振り込まれるので「被仕向送金手数料」および「円為替取扱手数料」はかからない。
というわけで、Kindleで販売する上でもっとも厄介だったこの2点の問題は、現在ではほぼ解消されています。
以前より気軽にKDPを利用できるようになっているのです。
BOOK☆WALKERに比べると複雑で入力が多いけれど……
今回、KDPで登録する際には、またまたBWインディーズ著者センターの「電子書籍の作り方・売り方まとめ」で紹介されている「Amazonで自分の電子書籍が販売できる」をマニュアルにしました。
BWインディーズ著作センターの「電子書籍の作り方・売り方まとめ」は、電子書籍作成の初心者にとってとても役立つ情報が満載ですので、一読をお勧めします。
同じことを記事にしてもあまり意味がありませんから、具体的な登録方法は「Amazonで自分の電子書籍が販売できる」に丸投げすることにして、実際に手続きをしていて思ったことをまとめてみます。
複雑だけど、難しくはない登録作業
KDPの登録と販売申請は、確かにBOOK☆WALKERに比べると入力項目が多くて複雑です。
しかし、だから難しいというわけではありません。
上記BWインディーズ著作センターの「Amazonで自分の電子書籍が販売できる」で紹介されている手順にそっていけば、特に問題なく発売までたどり着けます。
BOOK☆WALKERと同じく表紙データとEPUBデータ、書籍の内容紹介文、カテゴリーを事前に決めておくとスムーズです。
表紙データはBCCKSで電子書籍を作るときに作成しておけば流用できます。
- ファイル形式:JPEGもしくはTIFF(圧縮率は最小限で)
- 寸法:縦横比が 1.6:1 推奨。理想的なサイズは、2,560 x 1,600pixel 。
長辺が1,000pixel以上必要。(最低サイズは1,000 x 625pixel) - サイズ:72dpiで保存して、50MB未満にする。
- 色:RGBカラーモード
以上が表紙画像の仕様です。(参考元:Kindle Direct Publishing「カタログ・表紙画像の作成」)
電子書籍の作成段階で、この形式の表紙を作ってしまいましょう。
EPUBデータはBCCKSで作れば、問題ないと思います。
少なくとも私の場合は、トラブルは1回もなくKindle用のデータに変換できました。
唯一迷ったDRM(著作権保護)の適用選択
登録作業はスムーズに進んだのですが、唯一迷ったのはDRM(著作権保護)です。
選択肢そのものは「DRMを適用するか、しないか」の2択なのですが、問題はこの選択は後からやり直しができない、という点。
「試しにやってみよう! あとで変更すればいいや」という、私の得意技ができないので悩みました。
DRM(著作権保護)は、簡単に言えば複製を禁じる仕組みを電子書籍データに入れることです。
これを適用させると、電子書籍を買ったamazonアカウントで設定している、Kindleのハードかアプリでしか読むことができなくなります。
DRMがない電子書籍は、購入者が自由に知り合いや友達にデータを渡してしまえるので、販売面では不利です。
しかし、読むハードやアプリを好きに選べるのは購入者にとって便利ですし、儲けを度外視して作品をより広めたいなら有効でもあります。
(引用元:Kindle Direct Publishing「商品の詳細情報の入力」)
つまり、著作権者の権利と利益を重要視するなら、DRMは適用。
購入者の利便性と、より多くの人に作品を読んで貰うことを優先するなら、DRMは不適用という2択になります。
結局、私は「DRMあり」を選びました。
初めての電子書籍販売で、しかも私は何の実績もない無名の書き手に過ぎませんから、DRMなしで販売して作品を少しでも広めるという選択も方法だとは思いました。
しかし今回は、以下のような状況も踏まえて「DRMあり」を選択しました。
- 先にBOOK☆WALKERでDAMありの状態で販売している。
- BCCKSで購入するとDAMなしのEPUBデータがダウンロードできる。
BOOK☆WALKERはDRMありなのに、KindleはDRMなしでは不公平になってしまわないかという懸念が1つ。
もう1つは、私の中ではKindleではなくBCCKSが特別枠だったからです。
BCCKSで作った電子書籍の特別性
そもそもBCCKSで作った電子書籍は、BCCKSのアプリにこそ最適になっています。
BCCKSで作った電子書籍は、同時に作成されるEPUBデータよりも、BCCKSデータのほうがより洗練されています。
さらに、BCCKSで書籍を購入すればDAMなしのEPUBデータも入手可能な仕様になっています。
(引用元:BCCKS情報局「DRMはかけられる?」)
私は電子書籍の販売額を、BCCKSでは税込み216円。BOOK☆WALKERやKindleでは、100円に設定しました。
BCCKSの最低販売額が216円だということも理由ですが、他店を100円にしたのは上記したデータの違いがあったからです。
- 他ストアではBCCKS専用データよりも若干品質が劣るEPUBデータを販売する。
- BCCKSで購入すればEPUBデータも入手でき、好きなハードやソフトで読めることが特典になりうる。
以上の2点の理由から、BCCKSでの価格は高めに、その他のストアは安めにするほうがバランスが取れていると思ったのです。
……無名の書き手が発表した小説を買うとしたら100円が限度だろう、という感覚的な判断もあったですけれど。
ちょっと説明が横道にそれました。
ですので、「DRMなしのEPUBファイルをダウンロードできる」のは、「BCCKSで他のストアより高めの値段で購入するときの特典」という形にしたかったわけです。
この考えから、私にとってKindleでの販売はDAMありが妥当だ、と落ち着きました。
反応が早い! Kindleの販売
KDPの説明では、販売申請をしてから最大で72時間後に販売されるということでした。
実際は前日の夜に申請を出したら、次の日の早朝には販売開始になっていました。
正確には4時前に販売開始のメールが届いていたという素早さ。
約半日程度です。
今回の電子書籍『白亜色の涙』のデータが小さい(約4万字程度)ということも関係しているのかもしれませんが、予想以上の速さに驚きました。
カテゴリーに注意!「お問い合わせ」で変更を依頼しよう
販売が始まったら、その本のカテゴリーを確認することをお勧めします。
というのも、販売申請で選ぶカテゴリーとはまったく違うジャンル分けされている場合があるからです。
Kindleのカテゴリーは、書籍ページの下の方にある「関連商品を探す」の下に表示されています。
今回の『白亜色の涙』はライトノベルで、ジュブナイル伝奇というジャンルです。(と、作者の私は思っています)
実際に販売されて確認したところ、4つのカテゴリに配置されていましたが……。
- Kindleストア > Kindle本 > ライトノベル
- Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > 小説・文芸
- Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > 評論・文学研究
- 本 > 文学・評論 > 評論・文学研究 > 文学理論
このように、上2つは良いのですが、下2つがまったく関係ない分類になっていました!
とりあえずライトノベルカテゴリーに入っているならいいかな、とも思っていましたが、さすがに「本」や「評論・文学研究」では、場違い感が甚だしいです。
なので、変更の手続きをとることにしました。
カテゴリーの変更は、「お問い合わせ」から依頼を出します。
- KDPのマイページの右上にある「ヘルプ」をクリック。
- 左の「ヘルプトピック」の下に配置されている「お問い合わせ」をクリック。
- 左の「カテゴリの選択」の「本の詳細」にチェックを入れ、「カテゴリーとキーワード」をクリック。
- 表示された必要項目に入力して、「メッセージを送信」ボタンをクリック。
これがまた、KDPのスタッフの反応が素晴らしく早いです!
ほぼ半日で結果メールが届き、カテゴリーが変更されていました。
- Kindleストア > Kindle本 > ライトノベル
- Kindleストア > Kindle本 > 文学・評論 > SF・ホラー・ファンタジー
KDPにしても、BOOK☆WALKER(BWインディーズ著作センター)にしても、個人出版への対応が早くて丁寧なので、安心して登録ができると感じました。
兎にも角にもamazonのKindle本で販売開始!
というわけで、販売開始しました。
売れるかどうかは別問題ですが!
KDPでの販売申請は、思ったより難しくなかった!
KDPでの電子書籍販売は、確かに手続きや入力項目が多くて手間がかかりますが、けっして難しくはありません。
2時間もあれば、販売申請ができます。
そうすれば早くて半日後には、あなたの書いた小説があのamazonのKindle本のページに並びます。
……売れるかどうかは、小説の内容と営業努力次第ですけれど。
個人出版した初心者の皆様、お互い頑張って宣伝していきましょう!
それはさておき、次は電子書籍販売のもう一つの大手である楽天Koboにも登録してみるつもりです。
そちらもまた記事にしたいと思います。
コメント
[…] 以前書いたKDPでの配本申請についての記事でも述べましたが、KDPでは一度設定したデジタル著作権管理(DRM)の変更はできませんでした。 […]