電子書籍作成サービスBCCKSを利用して、個人出版してみた | 小説家のタマゴたちへ贈る、電子書籍出版のすすめ

電子書籍作成サービスBCCKSを利用して、個人出版してみた

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stux / Pixabay

前回に引き続いて電子書籍を作成・公開してみた体験を振り返ってみたいと思います。

電子書籍作成・販売サービス「BCCKS」を利用して作成してみたのですが、ひとことで言えば「ブログのノリ」で電子書籍が作れます。

BCCKSを利用して、無料で電子書籍を作成する

工程は以下の通り。

・基本設定を選択。(タイトルや紙書籍用の判型など)
・「見出し」「本文」「画像」パネルを、考えている構成に従って選択。
・パネルにテキスト入力(コピー&ペースト)もしくは画像をアップロード。
・目次作成パネルで、目次を自動作成。
・表紙エディタで、表紙をデザイン。
・一旦保存し、プレビュー。
・最後に書籍情報を入力して、電子書籍発行ボタンをクリック。

もちろんきれいな書籍を作ろうとすると微調整が大変ですが、そこまで求めなければかなり気軽に作成できます。
少なくとも今回私が作成したレベルの電子書籍なら、拍子抜けするぐらい簡単です。

BCCKSを利用した実際の電子書籍作成手順は、すでに分かりやすいサイトがありますから以下を参考にされてください。

参考:BWインディーズ著者センター「文章と画像を組み合わせて電子書籍を作る

BWインディーズ著者センターには、BCCKSの使い方の他、無料素材サイトを利用した表紙の作成方法や、無料で利用できるフォントに関しても情報が載っていますから、電子書籍作成には重宝すると思います。
さらに、BCCKSで作成した電子書籍を、総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」で販売する方法も掲載されているので、要ブックマークです。

BCCKSにも作成マニュアルやQ&Aが用意されていますから、BWインディーズ著者センターの情報を基本に、マニュアルで補足すればそれほど困ることはないはずです。

ちなみに、表紙は以前の記事「自費出版する電子書籍の表紙づくりに役立つサイト7選」でご紹介した、無料画像素材サイト2つ、イラストACPixabayを利用しました。

今回はとことん無料を貫きますよ!

このように工程自体はブログのノリでできるのですが、今回作成してみて2つ、大変だった点がありました。
それは「校閲・校正」と「かぎかっこ」です。

校閲・校正はできる限り丁寧に行おう

ドラマでも今流行の「校閲・校正」なんですが、正直に言います。

これ、小説の原作者には完璧にこなすのは難しいと思います

なぜなら作品を書いている人間は、自分の文章に対する慣れがあるからです。
じっくり一文字一文字確認しているつもりで、サラッと見逃している事があります。

私は一応Webライターの端くれなので、今までも自分で書いた原稿は納品前にチェックしてきました。
ですから、専門家の足元にも及ばないと思いますが、最低限のチェックぐらいはできると考えていました。

結果。とても難しい!

クライアントの求めに応じて書く「記事」と比べると、自分の書きたいことを突き詰めた「小説」は、思い入れや自分の文章に対する慣れが強すぎて、客観性が保ちにくいのです。

さらに、恥ずかしながら完全に勘違いしていたのですが、小説を「推敲する」ことと「校閲・校正する」ことはまったく違う作業ですよね!

今回の電子書籍作成では、細かいものも含めたらおそらく20回以上見直したはずなのに。
それなのに!
……発行後に縦書き文のなかで、数字の「5」が仰向けに寝そべっていましたよ。
情けないやら、恥ずかしいやら。

もっというと「校閲」でするべき、不快表現や差別表現のチェックが完全とは言い難いです。
もちろんそれも意識して見直していますが、現在の出版業界の通例や常識を知っていないと、完全な「校閲・校正」は個人には難しいのではないでしょうか。

そんな表現上の問題も含めて、通常の出版社が出せない書籍を作成できることも個人出版の利点といえますが、テーマに必要不可欠な表現ならともかく、なるべく不快・差別表現はなくしたいですよね。

このように「完全に客観的で時代に合った校閲・校正」が、小説の作者本人には難しいのです。

こういう部分は個人出版に比べて、プロの校閲校正担当者がいる出版社や出版代行業者がとても強い点だと思います。

電子書籍をすべて個人で作成するなら、できる限り丁寧に客観的に「校閲・校正」するように頑張りましょう!

……特に、縦書きノベルの数字は確実に漢数字にしておこう!(小さな教訓)

縦書きのカギカッコに注意!

これは、前述したBWインディーズ著者センターには紹介されてなかったし、マニュアルにも多分載ってないと思いますが、縦書き設定の場合、セリフの行は半角分、上にずれます

初めてプレビューした時、何か違和感があったのです。
横書きだと分かりにくいかもしれませんが、下記のような感じ。

(正)
□ああああああああああああ
「あああ」
□ああああああああああああ

(誤?)
□ああああああああああああ
「あああ」
□ああああああああああああ

つまり、横書きでは全角だった「が、縦書き変換されると半角の「になってしまうようなのです。

システムの仕様なのでしょうし、別に変でもないのですが、一度気がつくとなんとなくひっかかります。

もしかしたら誰かが対応策を紹介しているかもしれないと、ネットで検索してみたら、先人がいらっしゃった!

こちらで紹介されていた対応策は「始めから縦書き用のカギカッコを使うこと」でした。

つまり横書き原稿の段階で、

「鋼一。そろそろ『泣く』わ」

﹁鋼一。そろそろ﹃泣く』わ」

としておくと、縦書き変換されたときに行頭がきれいに揃います

BCCKSで用意されているマニュアル本「書籍002参考書」の「入力しにくい全角約物等」に﹁や﹃が掲載されているので、それをコピーして、テキストエディットの「検索・置き換え機能」で一気に変換してしまうのが楽です。(BCCKSエディタの「一括編集」でもできます)

別にしなくても普通に読めますが、気になった人は上記参考サイトをご覧の上で、手を加えてみてください。

文章上の注意以外は驚くほど簡単だった!

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Unsplash / Pixabay

このように振り返ってみると、BCCKSで電子書籍を作る時に注意すべき点は原稿テキストの部分であって、電子書籍ファイルを作成すること自体はほとんど自動でできてしまうという、とても便利なサービスであることが分かります。

とにかく執筆した原稿が、こんなに簡単に電子書籍として公開できるとは、感動や驚きを通り越して実感がわかないくらいです。

校閲校正の注意点は、個人で作るなら他の電子書籍作成サービスでも同じです。
この点は第三者のプロの目が欲しいと感じました。その意味で、校閲校正もサービスに含めている出版代行サービスは、とても魅力的だと思います。
(なかには校閲校正はしない出版代行サービスもあるので、確認が必要です)

次回は、プロの腕が切実に欲しくなるもう一つの関門「表紙作成」についてまとめてみようと思います。

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