今では紙書籍も無料で出版できる。驚きのPODサービス4選 | 小説家のタマゴたちへ贈る、電子書籍出版のすすめ

今では紙書籍も無料で出版できる。驚きのPODサービス4選

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Gellinger / Pixabay

今は電子書籍の普及で、昔よりずっと簡単に個人出版できるようになりました。
セルフパブリッシング(個人出版)という言葉も徐々に知られつつあります。

しかし、やっぱり紙書籍を出版したいと考える方も多いのではないでしょうか。
自作の小説を出版したい人にとって、紙の書籍は目標の1つだと思います。

実は、今ではその目標も簡単に達成できるサービスがあります。
あなたが書いた小説を紙書籍として個人出版することも、無料でできる時代なのです!

無料で紙書籍が出版できる理由「POD」

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Efraimstochter / Pixabay

今まで紙書籍の出版は、出版社主催のコンテストで受賞し書籍化されるか、企画を出版社に持ち込んで書籍化するか、数十万円から数百万円かけて自費出版するか、この3つが主な手段でした。

どれにしても、簡単にできる方法ではありません。
だからこそ紙書籍を出版することは、ある意味では夢のようなものでした。

しかし、今では無料で紙書籍の出版ができるようになっています。
それは「POD(プリント・オンデマンド)」というサービスが普及し始めたからです。

「POD(プリント・オンデマンド)」とは、受注があった時点で、書籍を印刷・製本し出荷するサービスです。

紙書籍を製作するには、紙代や印刷・製本代はもちろん、流通のための輸送費、保管コスト、各所でかかる人件費、広告費など、多くの費用がかかります。

従来の紙書籍出版は、一度に数千冊印刷・製本することで効率化し、諸費用をまとめて低めに抑えていました。それによって利潤を生み出しているのです。
ですから、初期費用の時点でどうしてもまとまった金額が必要になりました。従来の自費出版が高額なのも、それが主な原因です。

ですが「POD(プリント・オンデマンド)」の場合は、注文があった時点で1冊から印刷・製本して出荷します。

書籍代にその紙代や製本費用が含まれていますから、初期費用を用意する必要がなくなるわけです。
製本費用やその他手数料を差し引いた分が印税となって著者のもとに入ります。

まだ大量生産ほど効率的なシステムではないので、一般の紙書籍に比べるとやや割高な値段になりますが、それでも従来の方法と比べれば、1冊の製作費用はかなり低く抑えられるようになりました。

このPODを利用することで、基本無料で紙書籍を出版できるサービスが始まっているのです。

無料で紙書籍を出版できるサービス4選

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Tabble / Pixabay

それでは、基本無料で紙書籍を出版できるサービスをご紹介します。(順不同)

それぞれの特徴を簡単にまとめてみましたので、参考にどうぞ!

ただし必ずそれぞれの公式サイトで、サービス内容や利用規約をしっかり確認してください。出版契約を結ぶ場合もありますので、きちんと検討することが大切です!

BCCKS

当サイトではおなじみのBCCKSは、無料で電子書籍を作成・販売できるサービスです。

同時に、独自のPODサービスを持っており、作成した電子書籍データを利用して、紙書籍を作成できます。
(参考:BCCKS「紙のBCCKS」<http://bccks.jp/about/bccks_make_pb>)

先日、個人出版した『白亜色の涙1』で試してみました。

『白亜色の涙』は基本設定が新書サイズで、電子書籍としては130ページあります。
マイページの「書斎」の各書籍データ欄にある「紙本作成」ボタンを押して、「表紙および本文のカラー設定」とか「裁ち落とし画像の処理設定」など、ほんの数項目を選択し、作成ボタンを押すと、約40分から1時間で紙本印刷用データができました。

紙書籍として128ページ分のデータ変換処理に約50分前後。それでPOD用のデータが完成です。

販売価格は、書籍サイズとページ数によって決められた印刷・製本代金に、印税分を足した金額を自分で設定できます。
(参考:BCCKS情報局「紙本の価格表」<https://support.bccks.jp/spec/paperbcck/pricelist_paperbcck/

  • 無料で電子書籍も紙書籍も作成・販売できる。
  • ブログを作るような簡単な操作で紙書籍を作成できる。

BCCKSのサービスは、個人出版の敷居を低くするどころか、ほとんどなくしてしまったと思います。

ただし、ISBNの取得は自分で行う必要がある点と、紙書籍の販売はBCCKSでしかできないという点では、AmazonのPODを利用して販売する他サービスより、販売力が低いかもしれません。

電子書籍なら有料サービスではありますが、KindleやKoboを始めとする有力な電子書籍ストア9店に配本できます。

「BCCKS」の詳細は、こちら

NextPublishing出版サービス

NextPublishingは、株式会社インプレスR&Dが提供している、PODを利用した新しい形の出版プラットフォームです。
そのサービスの1つに、基本無料で紙書籍を出版できる「NextPublishing出版サービス」があります。

出版ができる状態のPDFファイルがあれば、登録と使用料は無料!

販売はAmazonのPODサービスで、印刷費と販売手数料を引いた額が印税として支払われる形になります。販売価格の設定次第で、印税率を自分で決められるということですね。

【1冊あたりの印刷費(税別)】
モノクロページ数 × 2.5円 + カラーページ数 × 6.9円+180円 ※どの判型でも同じです。
【販売手数料】
販売価格の40%
【印税】
販売価格 − 販売手数料 − 印刷費
(引用元:NextPublishing出版サービス「よくある質問」<https://open.nextpublishing.jp/author/#qa>)

もともとNextPublishingは出版社向けのサービスですので、著者向けの「NextPublishing出版サービス」でも、有料ですがプロ仕様のオプションがいろいろ選択できます。

特に表紙作成は自分で作るとスキルとセンスが必要で大変ですし、販売にも直接影響してくるので、予算に余裕があるなら一考の余地ありでしょう。

また出版社向けのサービスも運営しているだけに、各出版社へのパイプが太い点も見逃せません。
書籍データの販売登録のときに『「出版社からの出版を希望」ボタン』が用意されていて、出版社に打診することができます。

原稿を持ち込むように出版社にアプローチできるというのは、便利ですし、もしかしたらそこから書籍化の道が開くかもしれません。

「NextPublishing出版サービス」の詳細と登録はこちら

スリースパイス

スリースパイスは、経営や営業支援を行っている会社ですが、POD出版にも力を入れています。

販売できる仕様を満たした完全PDFデータが用意できれば、基本的に自己負担金0!

販売はAmazonのPODサービスで、印税は販売価格から印刷費と手数料を引いた額ですので、自分で調節できます。

販売価格(税抜)=(表紙+本文印刷費)÷〔1-(Amazon手数料50%+著者印税15%)〕
※表紙180円、本文カラー頁6.9円、本文モノクロ頁2.5円で計算してください。
(引用元:スリースパイス「よくある質問」<http://www.3spice.co.jp/amazon-pod/podfaq/>)

入稿用の完全データが難しいという方向けにオプションで作成支援がありますし、Amazonの売り上げ次第では大手出版社への紹介もしてくれるそうです。

出版社への窓口になりうるというのは、小説家を目指す人にとっては魅力的ですよね!

他サービスに比べると、スタッフとの接点が多いのもスリースパイスの特徴といえます。

他サービスは基本的にネット上でデータの入力や入稿を行い、オプションを選ばない限りサービス会社との直接的な接点はほとんどありません。
しかし、スリースパイスの場合は、まず打ち合わせがあり、POD出版の説明があった後、出版契約を結びます。

ネット上ですべて終わるサービスは気楽な反面、不安に思う方も多いでしょう。
そういう面からすると、まず打ち合わせから入るスリースパイスは安心感があるサービスだと思います。

「スリースパイス」の詳細と申込みは、こちら

ムゲンブックス

ムゲンブックスは、デザインエッグ社が運営している書籍作成・販売サービスです。

基本料金は無料。

ブログのようにテキストを入力するだけで紙書籍を作成し、PODサービスを利用してAmazonや全国の書店で販売ができます。
電子書籍も同時に作成可能です。

紙書籍を販売する際にもっとも大きな利点と思えるのは、ISBN(国際標準図書番号)が交付されることです。

運営しているデザインエッグ社が出版社として登録しているため、ムゲンブックスを通して出版された書籍にはISBNが付与されます。

以前の記事、「【電子書籍出版】ISBNと書籍JANコードは必要?」でもご紹介しましたが、紙書籍を一般の書店で販売する場合にはISBNを含めた書籍JANコードが基本的に必要になってきます。

つまりムゲンブックスなら一般の書店でも販売可能なのです。

実際、他サービスはAmazonのPODサービスか、独自の販売路を使いますが、ムゲンブックスは全国の書店でもPODを利用して販売できます。
販売力という点では、ムゲンブックスが一番かもしれません。

またISBNがつくということは書籍として国際的に登録されたことを示します。
ISBNがあるなら、図書館への寄贈だってできますよ。

ただし、ムゲンブックスで出版した場合は、印税が10%になります
電子書籍に比べると低いですが、通常の出版社で書籍化した場合と同じぐらいと考えれば、妥当かもしれません。

また1冊目が10冊未満しか売れていない場合、2冊め以降の書籍を発行するときには登録費用6,500円が必要になります
初出版の書籍が10冊以上売れれば、2冊め以降も無料で出版できるということのようです。
(参考:ムゲンブックス「よくある質問」<https://mugenbooks.com/help>)

ムゲンブックスは姉妹サイトがあり、こちらも便利です。
合わせて利用すると、出版と販売の幅が広がりそうですね。

  • MyCover:表紙作成サービス。¥20,000より。
  • MyISBN:¥4,980のみで紙本を出版できる。(PDFのようなデジタルデータは自分で準備)

「ムゲンブックス」の詳細はこちら

PODサービスを上手く利用して、紙書籍デビューにチャレンジ!

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jill111 / Pixabay

ほんの少し昔では、紙書籍の自費出版には何十万円もかかり、下手すれば100万円単位も珍しくありませんでした。

それが今では、基本無料で紙書籍を出版することもできます。

大手出版社から出すほどの販売力と知名度は難しいですが、逆にまず紙書籍を出版して、その販売実績を資料として出版社にアプローチすることも可能でしょう。
まず出版。それから出版社へ打診という方法も、これからは多くなるかもしれません。

今はまさに「自由出版の時代」で、紙書籍デビューも、もう夢ではないのです。

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コメント

  1. 井上 靖之 より:

    「驚きのPOD」を実感しました。
    人口減少/少子高齢化時代おいては一人でも多くの人が就職や転職ができ、各人がその意思や能力をフル発揮できるようにならなければならないと思います。
    そのための「就職や転職のイロハ」を書籍にしたいと願っています。

    • Atsushi.H より:

      井上様

      コメントありがとうございます。管理人のAtsushi.Hと申します。

      今は個人で電子書籍や紙書籍を出版できる時代ですから、井上様が望まれている書籍も十分出版可能だと思います。
      実際、電子書籍で実用書やノウハウ本を出版するビジネスもありますね。
      出版のためのツールやサービスもいろいろあります。

      井上様のノウハウが、Amazonや他のPODサービスで書籍化されることを祈っております。

  2. Maulwurf より:

    2007年11月にMyISBNからクラシック音楽関連の著書を出版しました。
    費用はかかりませんが、社会的な周知や宣伝はすべて自己責任になります。
    本当に広く認知されたければ、最初から複数の方面に人脈を持っている著者、例えば何か専門分野の学会、大学研究室のOB会などのツテを利用した事前の宣伝が必須です。
    また、レイアウトや装丁も自前になるので、例えば同級生で出版・編集・印刷などの業界に就職した人を見つけて呼び出し、一杯おごってアドバイスを貰うなどの裏ワザが出来れば、更に容易に実現可能な形だと思います。
    知人にジャーナリストが居れば尚可!

  3. Maulwurf より:

    すみません、ミスタイプです。
    3行目「人脈を持っている著者、」⇒「人脈を持っている著者であれば、」が正しい。
    酒気帯び運転(?)にて失礼仕り候。

    • Atsushi.H より:

      コメントありがとうございます。

      おっしゃる通り、今は無料で紙書籍や電子書籍を出版できますが、販促活動はすべて自前でこなすしかありません。
      出版や販売に強い人脈を持っているなら一番ですが、なかなか縁がありませんよね。
      出版はできても、必ず売れるとはいえないのが現実です。

      だからこそ、電子書籍の場合ではありますが、ストア側で率先して個人出版本の情報を拡散したり、ポイント◯倍キャンペーンの対象にしてくれたりするBOOK☆WALKERは、初めて個人出版に挑戦するときにはオススメの委託先ではないかと考えています。

      もちろん、それでも個人出版だけで食べていけるほど稼げる訳ではなく、私の場合にいたっては雀の涙なわけですが、少しでも売り広めていくきっかけやヒントがあるのではないかと思います。

      お言葉ありがとうございました。
      販促活動については、私自身五里霧中の手探りなのですが、体験したことはまた記事にしていきます。
      今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

  4. Maulwurf より:

    追記です:
    私の場合、極めて専門性の高い内容で、数多く売る事は最初から考えておらず、学術レベルで認知され、引用される事が第一でしたので、一般的な出版のケースとは少し違うかもしれません。
    発売数か月後に某大学での講演や座談会司会の依頼があり、旧知の大学教授や著名交響楽団員の方々が数十人で出版記念パーティー(タダ酒?)を開いて下さいました。
    複数の音楽大学の図書館にも(直接頼んだ訳ではないのに)既に収蔵されているそうです。科研の公費で購入して下さった研究室もあります。
    この様に、商業的な販売数そのものとは別の意味や価値を求める場合には、初期費用がかからないという点で、大変有効なシステムだと思います。

    • Atsushi.H より:

      コメントありがとうございます。
      返信が遅くなり、申し訳ございません。

      確かに専門性の高い学術書の場合は、購買数よりも評価が高いことが重要と思います。
      その意味でMyISBNのような初期費用を抑えて紙書籍を出版できるサービスは、おっしゃる通りとても有効ですね。
      ISBNが取得できるのも、図書館収蔵や論文引用を考えると大きな利点になりますし。
      例えば民俗学や地域史のような学問に取り組んでいる在野の研究者にとって、発表方法の一つになるように思います。

      貴重な情報をくださり、ありがとうございます。
      とても参考になりました。
      今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。